それから2日後、面談カウンセリングにいらっしゃった勇樹さん。
今後のことが決まったせいかスッキリした顔をされていました。
また、1ヶ月前と顔つきや雰囲気がずいぶん変わっていました。さまざまなことを経験し、一回り大きくなったような印象を受けたんです。
浮気、離婚、セックスレスなどの問題は、いわば試練のようなものです。これを乗り越えた先には、人として一回り成長できた自分がいます。
心理学の格言に「問題はギフトである」という言葉があります。
問題を乗り越えた先には、必ず大きな気付きがあり、この問題があったから成長できたと思わせてくれるからでしょう。
もちろん、本人は問題に必死で向かい合っているため、自分が魅力的になったとなかなか気付きづらいのですが、客観的にみるとちゃんと変化が訪れています。それは
「あれ? なんだかキレイになったなぁ・・」
とか
「キリッとして男前になったなぁ・・」
など、どことなく感じる雰囲気かもしれませんし、メイクや服装など外見的に変化する方もいます。
内側から溢れだす自信が、自然と魅力的にみえるのでしょうね。
勇樹さんも問題と向き合った結果、男性としての魅力がアップしていました。
もともと、責任感や男らしさを十分に備えていましたので、それに落ち着きや頼もしさ、そして年相応のやんちゃさなども追加されていました。
「ここ1か月でずいぶん状況が変わりましたね」
というと、
「ホントですね。1ヶ月でこんなに変わるのかと不思議なくらいです」
と、離婚寸前という最悪な状況なのですが、当の本人はとても穏やかで楽になっていました。
奥さんを心から許したことによって、心の安寧が得られたようです
そして、今回のことでさまざまな気付きがあったと教えてくれました。
- 今まで我慢しすぎていたけれど、我慢はよくないんだなと思ったこと
- 周りが良ければいいやと今まで思っていたけれど、それはちょっと違うのかも・・と思い始めたこと
- 寂しさを抱えていたことに気付いたこと
- 離婚してもしなくてもどっちでもいいかな・・と思えるようになったこと
- 離婚はけして失敗じゃないんだと思えたこと
勇樹さんは1回目の面談カウンセリングのときとは異なる考え方になっていました。
離婚に対して周りがどう思うか気にされていたのですが、それも気にならなくなったようです。
離婚というと、「どこか人生に失敗してしまった」という印象を持たれる方もすくなくありません。
世間体を気にして、自分だけが我慢していればいいやと離婚しない方も大勢いらっしゃいます。
けれど、離婚はけして失敗ではなく、今後、より幸せな人生を歩むための教訓のようなものです。
彼のような気持ちになれると、後は勝手にいい方向に進んでいきます。
今回のカウンセリングでは、自分自身の魅力を知り、それを受け取るイメージワークをしていきました。
彼がもともと持っている魅力に自分で気付くためです。
私たちは周りからどんなに「ここがあなたの魅力だよ」と伝えられても、それを受け取らなければ、その魅力は自分にはないものとしてしまいます。
ちょっと無意識を扱うイメージワークをしながら、彼に自分の魅力を受け取ってもらいました。
彼が感じたのはじんわりとした温かな気持ちで、「これが俺の魅力か~」としみじみと受け取っている姿が印象的でした。
また、その他に無邪気さを取り戻すようなワークや、女性関係で出てくるパターンを変えるようなワークをしていきました。
終わった後、彼はなんだかポカンとしていました。
帰り際も少しぼーっとしていたので気になったのですが、とりあえず様子をみてもらうことにしました。
すると、その夜、メールがきました。
家に帰ると、奥さんが飲み会に行く準備をしていて、それを見たら浮気が発覚したときの怒りや不安、悲しみがフラッシュバックしてしまったそうです。
ですが、30分くらいしたら、不思議とその気持ちがどこかに消えていってしまったそうで・・
「前だとその不安や悲しみの気持ちがずっと続いていたんですけれど、どこかに消えてしまいました。まぁいっかって感じです(^^;
なんかカウンセリングを重ねるごとにプラスな方向にむかってる気がします!」
と結果オーライの様子でした。彼のポカンとした様子が気になっていたんですが、どうやらそれは嵐の前の静けさのようでした。
溜めこんでいた感情が噴き出る前の予兆だったんですね。
私たちの感情は、いくつもの層になっています。
一つの層を抜けると次の層が出てきて、最後には安心感や親密感の層にたどり着きます。
感情はただ感じてあげると自然に解放されるので、出てきた感情はそれが怒りでも悲しみでも、その時感じきってあげることが大切です。
感じ続けると、自然と心が楽なところにたどり着きますので。
彼自身、何回かのイメージワークで『感情を感じきること』や『自分の心を扱うこと』に慣れていたようです。
このことは勇樹さんが成長している証でもありました。