6.話し合いによる決裂

自分をすごく責めていると相手に攻撃的になる

前回のカウンセリングで、意気揚々として帰っていった勇樹さん。

しかし、またもや苦しい状況が訪れたようです。翌日に電話カウンセリングの予約が入りました。

カウンセリングの後、奥さんと話し合ったそうです。

そこでは、カウンセリングの効果もあったのか、言いたいことを伝えられたようでした。

ですが、彼女から(彼の)実家に戻るのは嫌だ、もう離婚したいといわれてしまったそうです。

離婚の前に別居してみてはどうかと提案しても、

「別居するなら結婚してる意味がないし、別居してもしなくても一緒だよ」

と取り付く島もない様子。さらに、

「私が仕事を辞めることになったのは子どもができて結婚したせいだ」

「今までいろいろ私が譲ってきたのにさらに譲れっていうの!?」

など彼を責め立てるような言葉に、ひどく傷ついてしまうこともあったようです。

最終的には「夫婦としてやっていく自信がない」とまで言われてしまいました。

とにかく彼女は離婚の一点張りで、そこにはどこか頑固さもありました。

彼としても奥さんの実家に入っているため、気を遣ったり、譲っていた部分はあったはずなのですが、今の彼女にはそれが見えないようでした。

こういうときには、

「結婚しなきゃよかった」

「あなたとの結婚は間違ってた」

「今までの結婚生活は全部自分が我慢してたから成り立ってた」

など、今までなんだったの?って思うくらい、暴言や傷付くような言葉ばかりが発せられます。

ですが、それは彼女の中にある罪悪感がそうさせるんですね。

罪悪感など微塵も感じていないように見えますが、本当は罪悪感で押しつぶされそうになっているんです。

罪悪感がある分だけ、心にもないことを言って後戻りできないような態度を取ってしまうものなのです。

 

事実、彼女はfacebookで

「もう死んだ方がいいかも・・」

とつぶやいていました。心の中では、自分のしたことを重く受け止めていたようです。

彼はこの状況に

「どうしたらいいかわからない・・」

とほとほと困り切っていました。

 

なので、こんなお話をしてみました。

「奥さんは、本来は真面目で誠実な方ですよね。そんな方が自分のしていることに気付かないわけないと思うんです。心の底ではものすごく自分を責めていると思います。

そして、今言っていること全てが本心というわけじゃないんです。女性は男性と違って後先考えず、その場の感情だけでものを言ったりします奥さんは、今は、離婚したい気持ちなだけなんです。

でも、この先同じように思うかはわかりません。とりあえず、今は奥さんの要求をのんであげてください」

「でも、僕が離婚に対してOKを出してしまったら本当に終わってしまうと思うんです」

「奥さんは今離婚したいと言っていますが、実際に判を押した離婚届を差し出されたわけではないですよね。」

「確かに・・」

「口では離婚といっても、実際に行動に起こすってすごく勇気がいるんです。なので、奥さんの言葉よりも態度や行動に目を向けてほしいんです。そして、まずは、奥さんに目を向けるよりも、ご自分に目を向けてください。勇樹さんはお仕事でも無理しがちですよね。

今までの疲労もたまってきてると思います。なるべく、身体を休めたり、今まで我慢してたけどやりたかったことなど、好きなことをして、なるべく自分を労わってあげてほしいんです」

夫婦やカップルは潜在的につながっていると心理学ではいわれています。

浮気という問題でも、自分が苦しい分だけ、パートナーも同じように苦しさを抱えて過ごしていることも少なくありません。

そんなふうには全く見えなくても、です。

逆をいえば、勇樹さんが好きなことをするなどして心理的な余裕を作ってあげることが、奥さんの心に余裕を作ってあげられるんですね。

そして、状況としては最悪なのに、彼はこんな話をしてくれました。

「なんか不思議なんですけれど、何とかなるような気がしているんです」

と。

腹を括って問題に向き合い、根底にある感情を癒していくとこの感覚がやってきます。

そして、この感覚は奥さんとの関係性が少し変わってきたことを暗示するものでもあります。

奥さんが激しく責め立てたり、暴言を吐いたりするのは、自立側から依存側に立つのを潜在的に恐れているためです。

無意識にでてくる心理的な抵抗ともいえます。

「良い兆しが出てますね~」といって電話カウンセリングを終了しました。

 

7.裁判を起こすという気持ちから円満な離婚へ・・ に続く

 

この記事をSNSでシェア!