2.奥さんが浮気に至るまで 〜浮気の原因とその背景〜

奥さんの浮気と離婚を乗り越える

2回目のカウンセリングは面談でお越し下さいました。

勇樹さんのお話を聞いていくと、奥さんが浮気に至った要因がだんだんと浮き彫りになってきました。

まず、お二人はセックスレスの状態でした。

結婚式の準備が一番忙しくなるころから、勇樹さんのお仕事も忙しくなってしまい、この頃から次第にスキンシップやセックスレスになっていったようです。

セックスレスは浮気を作りだす大きな要因になります。

家庭でセックスを得られなければ、男性は外に「女」や「セックス」を求めます。

それを物語るように、セックスレスになってからしばらくすると、勇樹さんが浮気をしました。

浮気相手とのメールのやり取りが奥さんに見つかり、ちょっとした離婚騒動になりました。

幸い身体の関係はなかったので離婚には至りませんでしたが、このことから彼に対する不信感が高まったようです。

浮気は女性としての自信を根底から覆すような出来事です。

自分に魅力がないんじゃないだろうかと自己嫌悪に陥る方も少なくありません。

それを裏付けるかのように、出産後、奥さんは産後うつになってしまいました。

うつ状態になると、例えようのないしんどさや心細い思いを味わいやすくなります。加えて、慣れない育児をしなくてはいけません。

このときに夫婦として支え合えればまた違ったのかもしれませんが、勇樹さんは仕事がとても忙しく、育児にも積極的ではなかったそうです。

このことがさらに不信感を募らせ、奥さんの浮気を誘発してしまったのかもしれません。

しかし、話を聞いていくと、勇樹さんご夫婦の浮気を生んでしまう一番の原因はコミュニケーション不足でした。

2人の間に『我慢』や『遠慮』がいっぱいあり、相手に不満があってもそれを伝えない、ケンカもあまりない状で、お互いに言いたいことを言い合えていない様子。

そのことを勇樹さんに聞いてみると、確かに、奥さんに不満や思ったことを素直に言えずにいると返ってきました。

「すごく好きすぎて、嫌われるくらいなら言わない方がいい、自分だけ我慢すればいいと思っています」

と。

彼の中には嫌われたくないという大きな怖れがあったんですね。

奥さんは彼の浮気をキッカケに責めたり、強気でものを言ったりするようになったそうです。

すると、(浮気をしてしまった手前、責められて当然と思っているせいもありますが)言葉が出てこなくて、何も言えなくなってしまうのだそうです。

次第に彼の立場は弱くなっていきました。

何も言い返してこない姿が、だんだんとの彼女の目に頼りなく映るようになっていったのか、今度は彼女の方が「男」を外に求めるようになりました。

基本的に、浮気は不足原則から起こります

不足原則とは、相手からもらえないものを他の人からもらおうとする心理のことです。

勇樹さんが浮気したときは、セックスレスとなったことによって、奥さん以外の人に「女」を求めるようになりました。つまりこの時点では、彼の立場は強かったのです。

そして、浮気がばれたことをキッカケに彼の立場は弱くなり、すると必然的に奥さんの立場は強くなっていきます。

彼に対して不信感や頼りなさを感じる分、別の男性に「男」を求めるようになります。

そして、だんだんと意識が外に目が行くようになり、浮気という行動に至ったようです。

また、彼女の中には大きな孤独感がありました。

後で彼女は浮気についてこう語ったそうです。

「ただ、逃げたかった。今は子育てしかしてなくて、楽しみといったらたまにの飲み会だけ。だから、この現実から逃げたかったの」と。

お子さんが小さい主婦の方は、社会から切り離されてしまったような孤独感を味わいます。

もちろん、主婦のみんながそうとはいいませんが、彼女は特に産後うつを経験した後だったので、人一倍、孤独や寂しさを感じていたのかもしれません。

また、同じように勇樹さんの心にも孤独感がありました。

数年前に地元を離れ、移り住んだ今の土地には友達もいなく、一人寂しい時間を過ごすことも多かったようです。

気の置けない仲間たちと羽目を外すこともできず、仕事と家を往復するだけの日々。

まだ、家庭が安らげる場所であったなら良かったのですが、2人の間はどこかギクシャクしたままで、どこか一人ぼっちのような感覚があったのではないかと思います。

こんなふうにパートナー同士は潜在的に同じ気持ちを抱えやすいのです。

 

3.執着を手放す へ続く

 

 

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