初めに勇樹さんからご相談いただいたのは、電話カウンセリングでした。
最近、奥さんの様子がなんとなくおかしいなと思っていたそうです。
そして、ある夜、彼が寝はじめた頃を見計らって、彼女が何かを引き出しから取り出して寝室から出て行く、ということがありました。
奥さんがいないときに、こっそりその引き出しを開けてみると一つのノートがありました。
そこには浮気相手との交際内容が赤裸々につづられていました・・
ショックで呆然とすると同時に、どこかで、『やっぱりな』という感覚があったそうです。
というのも、少し前から彼女が浮気をしているんじゃないかと思う節があったからでした。
彼女の携帯には勇樹さんは『カス』という名前で登録されていたり、facebookでは自分の悪口が書かれていたりと、愛されていないと感じる要素がたくさんあったそうです。
ノートについては、まず奥さんのお母さんにご相談されました。
お母さんからは
「私から浮気は辞めるよう話しておくから、このノートのことは言わないように。言うとしたら、それは離婚を踏まえた上でね」
と。
ですが、彼女が携帯をいじるたびに不安や疑いの心でいっぱいになってしまいます。
それに耐えられず、どうにか解決策はないだろうかといろいろ調べた結果、カウンセリングを受けようと決心されたそうです。
電話の向こうから、事実を淡々と話す勇樹さんの声はどこか冷静で、嫉妬で怒り狂ったり、浮気をするなんて信じられないと悪態をついたりする様子は全くありませんでした。
しかし、その裏には怒りややるせなさ、悲しみを抑えている様子がどことなく伝わってきました。それでも、
「今の状態を何とかしたいんです。どうしたらいいんでしょう」
と解決策を望む勇樹さんは、明らかに自分を見失っているようでした。
勇樹さんに限りませんが、こういった浮気や普段起きないような問題が起こるとパニックを起こしたり、不安や悲しみで心が押しつぶされそうになります。
なので、こういうときは、なるべく気持ちに寄り添うようなアプローチをしていきます。
今、どんなことを感じているか?
どんな気持ちを抑えているか?
など、まずは話をじっくり聞き、心の負担を軽くしていくことが優先です。
勇樹さんには今抱えている気持ちを吐き出していくために、宿題として奥さんへの手紙を2通書くことを提案しました。
一つは出さない手紙。
そこには、恨みつらみ、文句・・何を書いてもいいので、とにかく思っていることを書いてくださいとお願いしました。
もうひとつは奥さんに見せる用の手紙です。
本当は奥さんとどういう関係になりたいのか、本音ではどう思っているのかなど、普段口では伝えられない本心を書いてくださいとお願いしました。
感情は感じてあげると勝手に解放されていきます。
話す、書くなど表現することは、気持ちを感じるのと同じこと。
それだけで心が軽くなったりするのです。
勇樹さんは、「わかりました、やってみます」と承諾してくださり、初めての電話カウンセリングは終了しました。
2.奥さんが浮気に至るまで 〜浮気の原因とその背景〜 へ続く